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言葉で聞かせて

第3章 葛藤と誘発

俺はまた舌打ちをした


「勝手にしろ。ただし俺には変わらず関わってくんなって言っとけ」
「ちょっと、敦史!」


俺は悠史の呼びかけを無視して部屋に入った


「チッ、くそが……」


胸糞悪ぃ

味噌汁?ガキかよ
俺には関わるんじゃねぇぞ

面倒くせえ



理由の分からない苛つきを発散する場所が今は見つからなくて、俺はそのまま眠りに落ちた




次の日、俺は千秋(さん付けが面倒くさくなった)にも悠史にも会いたくなくていつもより早く家を出た

途中のコンビニでコーヒーを買って飲みながら店に行くと、まだ誰もいないらしく裏口も開いていなかった


「開いてねえのかよ」


思わず口に出して言うと、それに答える声があった


「今開けるから。にしても早すぎないかな?」


後ろから俺に歩み寄り鍵を開けてくれたのは、俺たちが働くホストクラブ『ange』のオーナーである佐伯さんだった


「おはようございます」
「おはよう」


はいどうぞ、と開かれた扉から中に入る


「どうしてこんな早いんだ?珍しいな」
「ただ朝早く目が覚めただけっすよ」
「ふぅん」


俺の話を軽く聞き流してから佐伯さんはそういえば、と話し出した

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