
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
僕の言葉に敦史が顔を歪める
「うっせ」
「ふふふ」
笑った僕と同時に聞こえたくす、という音に千秋さんを見た
なんか、いいな
敦史と話してる時に千秋さんが何を考えているのかなんて、今までわからなかったから
こうして反応が返ってくるっていうのがなんとも言えず嬉しい
声が出るようになって、本当に良かった
敦史も同じ気持ちなのか千秋さんを見てる
「ね?千秋さん。敦史ったら情けないですね?」
僕は微笑みながら千秋さんに近づいて髪の毛に口付ける
すると
「おい千秋。お前笑ったな?」
敦史も千秋さんに近づいてきて後ろから抱きついた
「わ、……っぁ、いた、痛いです……っ」
「うるせぇ。からかった罰だ」
ぎゅう、と腕に力を入れた敦史に千秋さんが笑っている
「いたたた……」と言いながら楽しそうな千秋さんを見て、僕も笑う
「ほら、千秋さんを虐めるのもそれくらいにしてそろそろ朝食にしよう」
「あぁ」
僕が敦史の頭を手でぽん、と叩くと敦史が千秋さんを離して食卓につく
千秋さんも「はい」と同じように座った
「悠史さん、これとっても美味しいです」
「本当ですか?良かった」
「普通だろ、こんなもん」
「敦史は食べなくていいよ、もう」
「あっ、おい。冗談だろうが」
「知らない」
「ふふふっ」
「おい千秋お前また笑いやがって」
