言葉で聞かせて
第10章 再来
本当は僕が会社に取りに行かなきゃいけないんだけど、担当の田中さんが持ち帰るには多すぎるし、僕が軟弱で不安と言って自宅に送ってくれる
「今日の重いですよ。玄関に置きましょうか」
「あっ、じゃあお願いします」
「はいっ」
少し面倒なお願いにも爽やかな笑顔で応じてくれるお兄さんに、何だか僕も気持ちが明るくなる
「よいしょ」と玄関に大きなダンボールを置いたお兄さんに「ありがとうございます」と声をかけた
「あとは……これか」
「?」
いつもはこれで終わりなのに、今日はまだ荷物があるみたい
珍しい
仕事関係の荷物はファンレターのダンボールの中に入ってるはずだから、仕事の人じゃないのかな?
兄さんからかな?
小さな封筒は何が入っているのか少し分厚い
「ありがとうございます」
「それじゃ、またお願いしまーす」
「ご苦労様です」
玄関の鍵を閉めて、受け取った封筒を特に見ることもなくダンボールの上に乗せてリビングまで運んで一旦下に下ろした
ほんと、ちょっと重い
いつもは部屋まで運んじゃうんだけど、重いからちょっと休憩と僕はソファに腰を下ろした
手紙を確認しようとダンボールの上に置いた封筒を手を伸ばして取る
裏返したそこに書いてあった名前に
「!!!」
僕は息ができなくなるかと思った