
言葉で聞かせて
第10章 再来
その赤い顔が何を表しているのかわからず、俺たちは黙って千秋の次の反応を待つ
すると千秋はゆっくりと丁寧な字で書き出した
『愛してる、って どういう意味ですか?』
俺は言ってもいいものかと悠史を見る
「千秋さん……実は、千秋さんが記憶をなくす前僕たちはお付き合いをしていました」
あっさりと答えを出した悠史に千秋は少し驚いた様子だったが、やはり話の流れで多少予想はしていたんだろう
『どちらと?』
小さく書かれた文字は何を考えているのかわからない
「俺と、悠史二人とだ」
「普通じゃないことはわかっていますが、僕らは三人でお付き合いしていたんです」
そう悠史が言うと多少予想落ち着いた様子の千秋が俺らを見比べた
『わかる 気がします。二人ともとても魅力的ですもんね』
千秋は照れ臭そうに微笑んだ
変わんねえな、なんて俺はまた思って何度か躊躇って止めた頭を撫でるという行為を今度は躊躇いなくした
頭を撫でられて目を細めるのがやっぱり猫みたいだ
悠史も横から手を伸ばして千秋の頭を撫でる
気持ちよさそうにしていた千秋だったが、切なそうに目を細めた
