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言葉で聞かせて

第11章 記憶

悠史視点


あれから3日が経った

僕たちは普通に仕事に復帰して、千秋さんは記憶を取り戻すために自分の過去の作品を読みあさっている


後から佐伯さんから聞いたんだけど、あの時敦史がぼこぼこにした男達はリーダーだけじゃなく全員ホストだったみたい


「ごめんな、調べんの遅くなって。でもまぁ、後片付けはしといてあげたからさ。子猫ちゃんの記憶、早く戻るといいね」


そう言って笑った佐伯さんはどこまで知っていたんだろう


後片付けという単語に首を傾げていた僕たちだったけれど、その意味をそのすぐ後に知った

ウチの店とトップを争っていたはずのホストクラブが、潰れていたから


「やっぱ佐伯さんやべぇよな?」


ドアの前に貼ってあった『一身上の都合により閉店いたします』と書いてある紙を見ながら敦史が呟く


「うぅん……そう、だよね?」
「敵には回したくねぇ人だな……」


意識がなくなるまで全員を殴った敦史が警察から罪に問われることもなかった


やっぱり、怖い人だ


そんなこんなで、結局残った問題は千秋さんの記憶だけ
とっとと取り戻してもらって、別れを撤回してもらわなきゃね

敦史も「訳わかんねぇ言い訳したら殴る」と息巻いていた

流石にその時は敦史を全力で止めるけど

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