
言葉で聞かせて
第11章 記憶
それがすごく嬉しくて、僕は千秋さんの背中に何度もキスを落とした
「千秋さん、気持ちいいですか?」
そう言いながら腰を再び奥に進める
気持ちいいところをあえて抉ると千秋さんがびく、びく、と小刻みに震えた
「やっぱり噛んだな」
敦史が楽しそうに千秋さんの様子を見ながら言う
「指、痛い?」
「痛えけど、別に。大丈夫だ」
僕を見て妖しく微笑む敦史の言葉の意味を受け取って、僕はさっきよりも早く、深く腰を揺すった
いつしかの声のない喘ぎを千秋さんが繰り返している
今の千秋さんだってもちろん好きだ
声なんか、なくてもいい
むしろもう身体のどこがなくてもいい
側にいてほしい
けど
やっぱり声を聞きたい
なんて我儘だよね?
揺すると言うよりも擦ると言う表現が正しいと思うくらいピストンが速くなって
それと比例するみたいに僕も追い詰められてる
快感が高まって早く出してしまいたいような、まだまだずっと繋がっていたいようなどっちつかずの心境で
でもそれが可笑しいなんて考えられるほどの思考力がない
気持ちいい
「あき、さ……っ、は……あっ、千秋さんっ、僕……ぁ、イ……ッ」
