言葉で聞かせて
第11章 記憶
祈るのは、顔を上げた時二人ともそばにいてくれることだけ
記録された内容まで見たかはわからないけれど、あの壊されていたビデオカメラを見たら何をされたかなんてわかる
過去の話は二人にした後だったし、余計に明白だっただろう
消えちゃいたい
いっそ植物にでもなって地中に埋まっていたい
年齢的にあまりに子供っぽい逃げ方をしようとしてる僕の身体は突然浮遊感に襲われた
「!?」
なに!?
思わず顔を上げると、敦史さんと悠史さんに抱えられていた
そのまま僕の部屋に入っていく
荷物まとめて出て行け……?
今現在きっとこの世で一番ネガティブな僕の頭はあらぬ方向に考えが向かっていったけど、予想は大きく外れ僕は優しくベッドの上に下された
良かっ……た?
怒ってないのかも、と奇跡を感じて二人の顔を見ると
やっぱり怒ってる!!!
二人は眉間に皺を寄せて険しい顔をしていた
「千秋さん……」
「千秋……」
名前を呼ばれてビク、と震えた身体は無意識に自分を守ろうと縮こまる
けどそれは許して貰えなくて、二人に肩を抑えられ強制的に正面を向かされた
「ごめん、なさい……」