
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
「なに……はなしてたんですか?」
俺は半分目の閉じかかった千秋の頭を撫でてから額や目蓋の上も優しく触れていく
「大したことじゃねぇよ」
「ん……でも、知りた……」
珍しい
随分食いついてくるな
自分に執着されているような言葉に口元が緩む
首をゆっくりさすってから額にキスを落とした
「そんな眠い状態で聞いてなんかわかんのか?……明日まだ気になってたら話してやるから、寝な」
「……ん、んーー……」
不服そうな声を出す千秋にまた一笑いして、ベッドヘッドに置いてあったライトを消す
暗くなっていよいよ俺が寝ようとしているのがわかった千秋は掴んでいた服の裾を離して俺の手首、腕、胴体と手繰り寄せるように抱きついてきた
あったけ
眠いからこいつの体温が高いのか
俺の胸元にすり寄ってきた千秋の柔らかい髪の毛が俺の鼻先に当たって擽ったい
とは言ってもそれすら心地よくて、温かい千秋を自分により近づけた
俺も眠くなってきた
酒飲んで、腹もいっぱいで、運動もして
眠くなる条件揃いすぎだろ
鼻先を髪に埋めると千秋が俺の方を向く
「ん?なんだ?」
俺は半分ほどしか開いていないだろう目で千秋を見返した
