
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
すると千秋は何も言わずに真っ赤な舌で唇を舐める
あぁ、キス
してほしいのか
寝惚けた頭でもそれだけはわかって、もう誰とキスしてんのかすら感覚がないままキスをする
唇で唇を食むように何度かキスをして、俺の意識はそこで途切れてしまった
朝目が覚めると温度もない空気を抱きしめていた
千秋は朝飯でも作りに行ったんだろう
「ふぁ……あ……ねみ……」
どデカイ欠伸をかまして、朝から元気のいい下半身を眺める
昨日抜いたからか
なんか妙にスッキリしてんな
それでもそのままリビングに行くわけにはいかねぇから、とりあえずおさまるのを待って部屋を出た
廊下で悠史にでくわす
「おはよう、敦史」
「おう」
「よく寝れた?」
「俺のセリフだろ。疲れは?」
俺の質問に悠史は小さくガッツポーズをした
「バッチリ!」
だが
「チッ、訳わかんねぇ強がり方すんな。アホか」
「ん……っ!?」
俺は悠史の額に手を当てる
ほらな
熱あんじゃねぇか
「……」
俺が睨みつけると悠史は気まずそうな顔をした
「……ごめん……?」
「謝んな。疑問系やめろ。いいから部屋に戻れ」
