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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


「……じゃあ、お前は俺が今何食べたいと思ってると思う?」
「えっ……え、そんな……わかんないです……」
「ちゃんと考えろ。ほら」


昨日もだけど、千秋が作る料理って意外と俺がその日に食いたいもののツボ突いてくんだよな


「え、と……じゃあ……暑いですし……」


と千秋が挙げたのはさっぱりしたものとスパイスの効いた辛いものの2択
それにプラスして季節関係なく俺が好きなおかずを数種類


ほらな
聞くと一瞬で食いたくなるようなもんばっか


「じゃあそれで」
「え!?敦史さんちゃんと考えて下さいっ」
「考えたよ。でも千秋が言ったもんのか食いたくなったから、そっち」
「それ……ずるいです……」


頬を膨らませながら怒る千秋に笑いながら手を伸ばす

そして膨らんだ頬を萎ませるように軽く抓った


「い、痛い……」
「嘘つけ。そんな強く抓ってねぇよ」


そう言って笑うと千秋は何かを観念したように笑った


「あっ……じゃあさっき敦史さんが考えていたの教えて下さい!今日は僕が言ったもの作るので、今度作りますから!」


ほう、そう来たか
まだ俺がまともに考えてねぇとか疑ってんな?

仕方ねぇな

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