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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


顔の赤みの収まった千秋とスーパーに入ると、いつも買い物付き合ってやれなくて悪かったな、と思う程度には大量に買い込んで行く


「あ……あれも……」
「おい、まだ買うのか?」


カートを押しながら千秋に支持されたものを全て籠に入れていたが、思わず口を挟んだ

すると千秋は無垢な笑顔で


「だって、持ち手も足もある時に買っておかないと僕一人じゃこんなに買えないですし」


と言いやがる


持ち手と足、ね
確かに車は運転してやるし荷物も持つけどな

良いように使いやがって


俺は呆れ半分諦め半分で「はいはい。ご自由に」と両手をあげた



結局カートに乗っていた2つの籠をいっぱいにするほど食料品やら日用品を買い込んで会計へ

店員がバーコードを読み取っては隣の籠へと商品を移す中、何故か俺をチラチラと見ては顔を赤らめている


大学生のバイトかなんかか?


やけに露骨に視線を送ってきては目が合うと急いでそらす

若さゆえの初々しい仕草が妙に面白くて、つい「なぁ」と声をかけた


「ぁ、はいっ」
「タバコ。25番もお願い」
「はっ……はい!ありがとうございます!」


気合の入った返事がおもしろい

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