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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


沢山の食料品とタバコを籠に移し終えたその店員が言った金額より少し多めに出す


「釣りはやるよ。アリガト」


そう言って最後に笑みを浮かべて籠を持つ

視界の端で顔を真っ赤に染めた店員が慌てているのを見て喉の奥で笑った


「くく……」


何あいつ
面白い


人で遊んで楽しんでいたのがバレたのか千秋が後ろから背中を軽く叩いた


「なんだよ?」


半笑いの顔のまま振り向くと千秋はむすっとした顔をしている


「悪かったよ。人で遊ぶのは良くねぇよな」


謝罪しながらビニール袋に買ったものを詰めていくと、千秋は顔が見えないほど俯いて「違います……」と呟いた


「あ?」
「あんな笑顔……他の人に見せちゃダメです……」
「!」


嫉妬?
はっ、可愛いことしてくれんじゃん


「馬鹿千秋」


俺が後ろから罵倒する言葉を口にすると千秋は驚いた顔で振り向いた

俺はその千秋の顔に顔を近づけて


「そんな可愛いこと言ってるとこの場でキスすんぞ」


と囁いた


「!?」


そうやって驚いて、その後恥ずかしがる
その顔も俺を煽ってるってことそろそろ自覚しような

こんなこと当然本人には言わないけど

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