
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「悠史さん?」
肩を掴んでちょっと離そうと力を入れてみても、悠史さんの身体はビクともしない
見た目によらず、悠史さんって力強いよね?
「おら悠史。あんまりふざけてんな」
「いやだ」
尚も駄々を捏ねる悠史さんに珍しいな、なんて思いながら僕も交渉に出る
「悠史さん?どうしたら離してくれますか?」
一度身体から離していた手をもう一度悠史さんの背中に回して聞いてみると、意外な答えが返ってきた
「……3日後、千秋さんが僕たちとデートしてくれるなら離します」
「デート……ですか?」
しかも3日後?
なんだか微妙に日が空いてるなぁ
僕は大事な打ち合わせとかなかったっけ、と一瞬自分の予定に思考を巡らせたけど、すぐにやめた
せっかく誘ってもらったんだから、何が何でも行こう
こうして僕のところに2人とも帰ってきた記念だ
悠史さんに「わかりました」と返事をすると、悠史さんが「約束です」と微笑みながら離れてくれた
「それにしてもどうして3日後なんですか?」
敦史さんに身体を拭かれながら僕が尋ねると、誘った悠史さんではなく敦史さんがその質問に答えてくれた
