
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
朝、眼が覚めると僕の身体にはまだ2人の腕が巻きついていた
まだ抱き締めててくれたんだなぁ
出るのが勿体無い、なんて
でも僕が作ったご飯を食べて欲しいから、頑張って起きよう
2人を起こさないようにそっと抜け出してキッチンへ
冷蔵庫の中身をざっくり眺めて作るものを決めたら、料理に取り掛かる
殆ど予定してた料理が出来上がった頃、廊下に続く扉が開いた
「おはようございます」
僕が微笑みながら声をかけると、寝起きとは思えないほどすっきりした表情の悠史さんとまだ寝惚けたような顔をした敦史さんが挨拶を返してくれる
「おはようございます、千秋さん」
「……はよ……」
敦史さんは大きな欠伸をしながら席に着いた
悠史さんは「手伝います」とキッチンに来てくれる
「じゃあ、これお願いします」
「はい」
お皿を二枚渡すと悠史さんはにこやかに受け取ってくれたけれど、何故か運ばずに佇んでいる
「どうかされましたか?」
僕が聞くと悠史さんは僕が渡したお皿を一度置いて、僕の腰をするりと撫でた
「?」
「腰、痛くないですか?」
「へ?」
「昨日の、痛かったりしませんか?」
「あっ……!」
