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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「? どうかされましたか?」
「いや、なんでも……」


ふい、と顔を逸らしてしまった敦史さんはそのまま玄関に向かっていった


なんだったんだろう?


僕が不思議に思っていると、悠史さんが玄関で手招きをしている


「なんですか?」
「僕のネクタイは、曲がってませんか?」
「えぇと……」


曲がってないように見えるけど……


僕は軽く襟を整えるだけで「大丈夫だと思います」と離れた

すると満足気に微笑んだ悠史さんにお礼を言われる


「?」
「チッ、早く行くぞ悠史」
「うん。行ってきます、千秋さん」
「お二人ともいってらっしゃい」


本当に、なんだったんだろう?


2人が出ていっても暫くは首を傾げていたんだけど、1人で考えても何の意味もないな、と思い直して僕はリビングに戻った

リビングに入ると、テーブルに置いてあった僕の携帯がチカチカと光っている

確認してみると田中さんからだった


『おはようございます。進捗はいかがでしょうか?』


それを見て、仕事が残ってたんだったと思い出した

急いで部屋に行ってパソコンの電源を入れる


どう、かな
もうほとんど終わりだから問題ないと思うんだけど

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