
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
『問題ないと思います』とメールをおくると数分も経たないうちに『了解しました』とメールが返ってきた
せっかくだしこのまま仕事始めよう、と椅子に座って身体を伸ばす
キーボードを叩く小気味のいい音が部屋に響いて、画面に表示される文章に自分の全ての意識が集中していく
そして
「ふぅ……」
一息つこうかな、と顔を上げた頃には始めてから数時間が経っていた
「わっ、もうこんな時間だ」
時刻はもうじき短い針が文字盤の上を指そうとする頃
お昼ご飯を用意しなきゃ、と立ち上がると丁度良いタイミングで電話が鳴った
「はい、もしもし」
『お忙しいところ申し訳御座いません。私ジュエリー北村の遠藤と申しますが、古田様のお電話でお間違いないでしょうか?』
また田中さんかな、と思っていたんだけど、電話を掛けてきたのは名前も知らないお店
ジュエリー北村?
どこのお店だろう
この辺にはない……よね?
1人ではスーパー以外に出歩くことも少ないため近辺の店すらよくは把握しきれていないけど、流石に全く聞いたことも見たこともない店はないだろう
「え、と……番号はあってるんですが、僕ではないです」
