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言葉で聞かせて

第5章 再発


本にサインを貰って悠史はご満悦だ


「……嬉しそうだな?」
「当然です!だってあの……っ……はぁ、どうして敦史は小説を読まないんですか?この素晴らしさを知ってほしいのに……!」
「面倒くせえし眠くなんだよ。睡眠薬の代わりとしてなら一年に一回ぐらい使うぜ?」
「はぁ……」


俺たちの話を大人しく聞いていた千秋の視線が気になって、とりあえず謝っておく


「……悪いな。名前だけは知ってんだけどよ」


突然話を振られてなのか、俺が謝ったことへなのか、一瞬意外そうな顔をしてから千秋は優しく微笑んで首を横に振った


『仕方ないですよ。小説には好き嫌いがありますから』


千秋はそう言ったが、悠史はまだ興奮が冷めないのか俺に本を一冊差し出した


「これを読みなさい。敦史」
「はぁ?」
「比較的読みやすくて、人気の高い作品です。全ての作品が当然のように素晴らしいですが、これは特に有名な作品なので読むべきです。教養の高いお客様への話題にもなりますし」


めっちゃ推してくる……
そして目が怖い


「じゃ、じゃあ……貸してもらうよ……」
「感想文待ってます」
「感想文書くのかよ!?」
「当然です」

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