言葉で聞かせて
第5章 再発
明らかに面倒くさがっている俺とそれに怒る悠史
それを見守っていた千秋はおどおどと双方を交互に見ている
そして素早く書いておずおず差し出して見せたのは
『無理に読まなくても大丈夫ですよ?』
というもの
無理?
無理な訳ねえだろ!
悠史に面白さがわかって、俺にわからねえなんてことあるわけねぇんだから!!!
間違った方向にまっすぐ燃えたぎるこの情熱を千秋にぶつけるわけにもいかず、俺は千秋の頭を優しく数回撫でてやる
「……任せろ。全文読んで感想文まで提出してやるよ」
「!それは楽しみですね。ねぇ?千秋さん?」
無理だと踏んでいるのかにやりと笑った悠史と裏腹に、俺が読むといったことが嬉しいのか千秋はにこにこしている
ぜってぇ読み切って見返してやる!!!
俺が心の中で炎を燃やしていると時計を見た悠史が千秋に向き直って微笑んだ
「さて、そろそろ寝る時間なのでベッドに行きましょうか」
こくん、と頷いた千秋は悠史に付き添われてなぜか千秋の部屋とは反対の方向へ歩いていく
「おい?千秋の部屋はそっちじゃねぇだろ?トイレか?」
俺の質問に悠史は大きく溜息をついて答えた