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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


僕がそう言うと、電話の向こうの女性は落ち着いた態度で「失礼致しました」と言った


「古田様のご帰宅は何時頃になりますでしょうか?」
「すみません、えと……仕事の都合上帰宅時間がまちまちなのでわからないです」
「左様でございますか。それではまた改めてお電話させて頂きます」


女の人は「失礼致します」と言って電話を切った


なんだったんだろう?
ジュエリーってことはアクセサリーのお店?


予想外の電話に、あらぬ妄想まで抱いてしまう


もしかしてまたお客さんの女性とトラブルとか……
帰宅時間を知りたがったのはそのため?

怖いなぁ


「……」


帰ってきたら2人に相談してみよう


僕はそう決めて、とりあえずまた仕事に取りかかった



2人が帰ってきたのは日付が変わったくらいの時間

今日はどちらもアフターに行かなかったらしくて揃って同じ時間に帰ってきた


「おかえりなさい」
「あぁ」
「ただいま帰りました」


2人からカバンとコートを受け取って、リビングまで後ろをついて歩く


「あ……」
「?」
「どうした?千秋」


僕が電話のことを思い出して声を出すと2人が振り返った

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