
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
当然、言っておいたほうがいいよね
本当に何かの問い合わせだったのかもしれないし
「あの、お昼にジュエリー北村?ってお店から電話がかかってきました」
「「!!」」
2人の顔に驚きの色が出る
やっぱり何かあるお店だったのかな
「あの、古田様って言われたのに聞くの忘れてしまって、悠史さん宛か敦史さん宛かわからないんですけど……」
「何か仰ってましたか?」
「いえ、ただ帰宅時間を聞かれただけです」
僕の言葉に2人が安堵したようにため息をついた
なんだろう
「何かあるお店なんですか?」
聞いてみると、敦史さんは僕から目を逸らしてしまう
悠史さんはにっこり笑って答えてくれた
「実は、お店の先輩が引退されるので、それのお祝いの品をそこのお店に注文していたんです」
「引退、ですか」
そうだったんだ
それは確かにお祝いしてあげなくちゃいけないよね
アクセサリーのプレゼントなんて、お洒落だなぁ
「喜んで頂けるといいですね」
「はい」
悠史さんは嬉しそうに微笑む
良かった
また何かのトラブルかと思っちゃった
「千秋、腹減った。飯用意してくれ」
「はい!」
