
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
悠史さんよりもまだ寝ぼけ眼な敦史さんが「ん」と言って顔を近づけてくるのを拒まずにそのままキスをすると、「千秋さん僕にも」と悠史さんも顔を近づけてきたので悠史さんにもキスをした
幸せだなぁ
「えへへ」
「どうした?」
「いいえ、なんでも」
ご機嫌でずっと笑ってる僕の様子を訝しげに眺める2人の視線が少し痛かったけど、仕方ないじゃん
嬉しいんだもん
デート、どこ行くのかな
どんなところだって楽しいよね
敦史さんと悠史さんと3人一緒なんだから
「よし、頑張るぞ!」
僕は1人、キッチンで気合いのガッツポーズをした
「千秋さん、準備できましたか?」
「え、と……」
お弁当と水筒は持ったし
ハンカチ、ティッシュ……
携帯電話、お財布……
僕がずっと頭の中で持っていくものリストをチェックしていると、僕が持っていたお弁当の袋をひょい、と持ち上げた敦史さんに背中を押された
「わっ……」
「ねぇもんは買えばいいよ。別にそこまで金に困ってるわけでもねぇんだし」
そんな横暴な、と思ったけれど敦史さんに「な?」と笑いかけられてしまうと、確かにどうでもよくなってしまったから不思議
「そうですね!」
「それでは、行きましょうか」
