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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「少し休憩してから、次に行きましょうか」
「すみません。ありがとうございます」


ふぅ、と3人でのんびり座っていると、平日なのにもかかわらず両親2人と子供という家族がちらほら歩いているのが見える

きゃっきゃっ、とはしゃぐ子供に、それをたしなめる両親
子供と一緒に動物たちを見て楽しんでいるお父さんや、更にそれを見て微笑むお母さん

色んな家族がいるけれど、そのどれもが微笑ましい


「平日でも、まぁ何組かは家族連れいるんだな」
「そうだね。全体的に人が少ないけど、やっぱりお子さんと一緒に来る人が多いだろうから、いる人は家族で来ている人が多いね」
「俺、ガキ、嫌い」
「そう言わないの」


敦史さんと悠史さんのやりとりに笑って、


「家族って、いいですね……」


とつい口に出してしまった

僕の両親が亡くなったのは僕が小学校の頃

共働きで、2人ともいつも忙しそうだった僕の両親とは、あんな風に家族で動物園なんて行けるはずもなかった

別に冷たく当たられたとかそんなことはもちろんない

2人とも優しかったし
家にいるときはいつも甘やかしてくれた

僕の料理が上手くなったのも2人が褒めてくれたからこそだと思う

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