
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
でも、一緒にいる時間が少ないっていうのはやっぱり寂しくて
だから
2度と会えなくなってしまった時に「どうして」って何度も何度も考えたのは幼い僕には仕方のないことだったと思う
いつか、一緒に居られるようになる時が来るって言い聞かせてたから
「千秋さん?」
悠史さんが隣から恐る恐る、という感じで声をかけてきた
「はい?」
「……大丈夫、ですか?」
あぁ、心配かけさせちゃったな
僕はできるだけ明るく笑った
「はい!」
「ご家族とは、こういうところに来られることはなかったんですか?」
「はい……でも、僕が両親と来れなかった分、今新しい家族の悠史さんと敦史さんが色んなところに連れて行ってくれますから、全然寂しくないですよ」
「そうですか」と笑う悠史さんの笑顔は少しだけ曇っていて、空気を悪くしちゃったかなと反省した
敦史さんは何も言わずに聞き流しているだけで、遠くの家族を眺めている
「そろそろ行きましょうか」
「そうですね。お腹も大分楽になりましたし」
その場の空気を払拭するように明るい声でデートの続きを促した悠史さんに心の中でお礼を言いながら、僕は勢いよく立ち上がった
