
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
次に向かったのは
「ここは……?」
何か、キラキラしたお店
「紳士服店ですよ」
お店の前で呆然と立ち尽くす僕に、悠史さんがくすくす笑いながら教えてくれる
「今日はちょっといいお店にディナーの予約をしたので、ついでに千秋さんにスーツをプレゼントしようかと思いまして」
えっ、そんな
スーツくらい1着は持ってたから、言ってくれれば持ってきたのに
ここ、明らかに普通のお店より高いんだけど
こんな高そうなもの……
って、え!?プレゼント!?
色んな驚きが重なって、言葉が出なくなった僕に敦史さんが「オーダーメイドじゃなくて悪いな」とにやにやしながら追い打ちをかけてきた
「僕、自分で買えるので……っ、こ、こんな高そうなお店でプレゼントなんて……!」
高そうな、っていうのが悪口に聞こえなくもないから、小声でお願いすると敦史さんも悠史さんも首を横に振った
「だめですよ、千秋さん」
「今回の迷惑料だと思って、受け取ってくれ」
「えぇ、そんな……まっ、待ってください!」
僕が尻込みしても、2人はスタスタとお店の中に入って行ってしまう
うわぁ……
こんなセンスの良さそうなお店入ったことない……
あ、でもあのネクタイとかは敦史さんが持ってた気がする
あれは悠史さん持ってたっけ
ってことは、2人がいつも使ってるお店なのかな
