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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「いらっしゃいませ、古田様」


僕たちがお店に入るとすぐに出てきたのは『オーナー』と名札に書かれた明らかに年上なおじさん


「いつもご利用頂きましてありがとうございます」


そのおじさんが2人にぺこぺこと頭を下げるから、僕は驚いてまた何も言えなくなった


「本日はどういったご用件でしょうか?」
「こちらの、義兄にスーツを1着見立てて頂きたいのですが」
「オーダーメイドでよろしいですか?」
「いや、今からそれを着ていくところがあるから、店にあるもので頼む」


そんな適当な頼み方して大丈夫なのかな、色とか記事とか型とか色々あるんじゃないのかな、と色々考えていると、オーナーさんが僕を上から下までじっくりと見てくる


「!」


うぅ、人の視線が痛いなんて久しぶり……
なんでこんなに見るの


すると「畏まりました」とニッコリ笑ったオーナーさんに「こちらへどうぞ」と招かれて奥へと連れて行かれた


「じゃ、後でな千秋」
「僕達ここで待ってますから」
「えっ!?つ、ついて来てくれないんですか!?わっ……!?」
「お義兄様大丈夫ですから、急いでこちらへお願い致します」


呑気に微笑みながら手を振っている2人に見送られ、僕はお店の奥にある試着室に押し込まれた

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