
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「……お2人の方がずっとお似合いです……」
僕がそう伝えると、悠史さんはくすぐったそうに微笑んで、敦史さんはにやりと笑った
「ありがとうございます」
「まぁ、俺らは仕事でも着るしな」
そして、オーナーさんにカードを渡す
「ほら」
「お預かりいたします」
僕は着慣れないはずのスーツが肌を馴染むのに感動しながら2人に歩み寄った
「本当に、良かったんですか? 払って頂いて……」
「いいんですよ、千秋さん」
「別にそんなに高いもんじゃねぇよ」
高いものじゃないって言うけれど、値段の書いていないものなんて信じられないよ……!!
「お待たせ致しました」
オーナーさんが帰ってくると、カードを受け取った敦史さんが僕の片手を取る
もう片手は悠史さんに取られて
「行くぞ」
と歩き出された
両手を繋がれて歩く僕は囚われの宇宙人のような気持ち
そのまま車に乗せられて連れて行かれたのは、さっきの紳士服店よりももっと煌びやかでそれなのに上品な佇まいのお店
駐車場が見当たらないな、と思って辺りを見ていると敦史さんが車をお店の正面に停めた
「えっ……!? ここ、停めちゃダメですよ!?」
