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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


僕が焦っているのに反して敦史さんと悠史さんはエンジンがかかったままの車から降りてしまう


なんで!?
僕、運転できないよ!!


すると、僕の座る後部座席のドアを開けた2人に手を差し出された


「さぁ、千秋さんお手をどうぞ」
「ははっ、ぼーっとしてんなよ。おら、行くぞ」


さっきと同じように2人に片手ずつ取られて、車から出される


「車は、あそこに停めていいんですか……?」


いや、いいわけないよね
移動しないと……


僕が不安そうに尋ねたからか、敦史さんと一緒に悠史さんまで笑って

「えぇ。すぐにお店の方が駐車場まで運んでくれますから」


と教えてくれた


そ、そんな……ドラマの世界の話じゃなかったんだ……


「足元、お気をつけ下さいね」
「はい……」


そこからは、どうやって席に着いたかなんてほとんど覚えてない

綺麗なお店の外観にため息をもらして
丁寧な接客に感心して

気がついたら個室の中にいた


「千秋?大丈夫かよ?」
「こんなところ、入ったことなくて……緊張します」
「お仕事の接待とか、ありせんでしたか?」
「こういうのは全部断ってましたから……」


喋れなかったから、行っても意味がないし

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