
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
食べ終わってしまうと、やっぱり少しもったいなくて寂しい思いがする
「ふぅ……」
満足感と切なさとが入り混じった感情で僕が息をつくと、扉が開いて男の人が入ってきた
「本日はお越し頂きまして、ありがとうございます」
白い服に、白い帽子
その見た目は明らかにコックさん
えっ……!?
コックさんが挨拶に来たよ!?
2人ってばどれだけすごい人なの
「久しぶりだな」
「お久しぶりです」
僕の緊張とは裏腹に2人はリラックスした様子で気さくに挨拶をしている
2人の挨拶にコックさんも「久しぶり」と答えてるから、常連なのかと思ってたけどどうやら2人の知り合いだったみたいだ
「お知り合いなんですか?」
「あぁ。遥昔の同級生だ」
「中学校が一緒だったんです。それで、お店のお客様と食事に来た時に偶然再会して……」
「それ以来、たまにお越し下さるんですよ」
代わる代わる息の合った説明をされて、仲がよかったんだなぁと微笑ましく思う
「素敵ですね。大人になってから再会できるなんて」
「ありがとうございます。因みに、貴方は?」
「僕たちの義兄です」
コックさんの質問には悠史さんが答えた
