
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
本当の目的……?
って……
僕が黙ると、僕から離れた2人が目の前に並んだ
2人の緊張した姿に、さっきからずっと様子がおかしかったのは本当はこれが原因なんだってすぐにわかる
嫌うはずないって言われたけれど、2人にここまで緊張させる何かってなんだろうって考えるとやっぱり不安だ
もしかしたら、万が一
2人が僕を困らせるようなこと絶対にしないってわかってはいるんだけど、信頼してはいるんだけど
怖い
現実逃避したいのか、自分の前以外のことが妙に目についた
風が冷たいな
街の喧騒が無くて静かだな
街灯が少ないけど、月や星の光で明るいな
けど
2人が、少し俯いているのが悲しい
僕のせいだろうか
笑って欲しい
さっきみたいに
いつもみたいに
いつまでも、笑っていて欲しい
「本当の目的って、なんでしょうか……?」
「「……」」
僕が意を決して尋ねると、2人も何かを決心したように顔を上げた
敦史さんは自分が着ていた上着のポケットに手を入れると何かを取り出す
薄暗いここではそれが何なのかはっきりと見ることはできないし、ほとんどは敦史さんの手のひらの中にあったから、小さいものってことしかわからない
「千秋」
「千秋さん」
