言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
涙なんか、止まる気がしなかった
だって溢れてるのはきっと僕の今までの悲しみとか苦しみとかそういう黒い感情全部だから
例えばお母さんに叱られた後に抱き締めてもらうような
例えば神様に全てを赦されるような
そんな感じ
全部全部
僕の存在も何もかも、2人が受け入れて赦してくれたみたいな気がしたんだ
どうして僕なんだろうって思ってたけど
僕でよかった
ううん、僕がいい
この2人に愛されるのも
この2人を愛するのも
僕はもう一生、この2人と離れたくない
ぎゅう、と抱きしめた腕に力を入れると、敦史さんがそれ以上の力で抱き返してくれて悠史さんは優しく撫でてくれた
「僕……きっと、世界で1番幸せ……です……っ」
僕の言葉に嬉しそうに微笑んだ2人はしかし、僕の言葉を否定した
「ふふっ、千秋さんそれはダメです」
「あぁ。千秋が世界一はありえねぇよ」
そんなわけない!
僕が1番幸せなのに!
嫌だ、と首を振ると2人から頭にキスを落とされる
「だって世界一はどう考えたって俺たちの方だろ?」
「!」
「可愛いですね、千秋さん」
「あんまり泣いてっと襲うぞ、こら」