言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
顔に熱が集まるのがわかった
そんな、の
「ずるい、です……」
「ほらまたそんな顔しやがって」
「ダメですってば、千秋さん」
敦史さんと悠史さんから顔中にキスの雨が降らされて
「んっ、ん、んーーっ」
喋るのもままならなくなる
暫くして漸く離れた敦史さんと悠史さんは、すごく満足げだ
「そうだ、千秋。これつけてやるよ」
「手を出してください」
「あっ……はい」
敦史さんと悠史さんに指輪を差し出されて照れながらも慌てて手を出すと、敦史さんの手にある指輪の箱に『ジュエリー北村』と書かれているのが目に入った
「そこのお店……この前、電話がかかってきた……」
「あ、やべ……」
「敦史」
「悪い」
2人が気まずそうにしている
ってことは
「この前の先輩へのプレゼントというのは……嘘なんですか?」
「ごめんなさい、千秋さん」
「悪い」
「サプライズにしようと思っていたのに家に連絡が行くとは思わなくて、焦って嘘をついてしまいました」
「携帯に電話しろっつっといたのによ、あのクソ店員」
2人が必死で言い訳している姿が少し可愛いけど、嘘を吐かれたことは単純にショックでむっとした顔をしてみた
「……」