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言葉で聞かせて

第14章 番外編「千秋と酒」


俺が机の反対側に座っていた千秋に名前を呼んで呼びかけてみるが


「千秋?」
「……」


千秋は無反応


「千秋さん? どうかされましたか?」


今度は千秋の隣に座っていた悠史が声をかける
すると


「!?」


千秋が突然悠史に抱き着いた


な、なんだ?


「千秋さん!?」


悠史も驚いた様子で千秋を引き離そうとするが、結構強い力でしがみつかれているらしく苦戦している


「おい、千秋」


俺も机に乗り出しながら悠史の体に巻き付いている千秋の腕を外そうとした

が、


離れねぇ……っ
こんな力強かったか? こいつ


そして俺たちが突然起きた千秋の異変に戸惑っていると、悠史の胸に埋められていた千秋の顔が俺のほうを向いた


「!?」


その表情に俺はまた困惑する


「な……何で、泣いて……!?」
「え!?」


悠史からは千秋の顔が見えないから、悠史は俺の言葉を聞いて驚いた声を出す


「千秋さん? 具合が悪いんですか? お水を持ってきましょうか?」


泣いている、とわかったことで急に焦りだす悠史
俺もただ座っているだけでは心配になって机の反対側へと移動した

千秋の背中を撫でながら俺も語り掛けてみる

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