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言葉で聞かせて

第6章 休息?


開かれた扉の向こうに立っていたのは


「初めまして。私、小野寺千秋さんの担当編集をしております。田中と申します」


スーツを着た真面目そうな男性だった


担当編集者……?


恭しくお辞儀をされて、敦史が訝しげな声を出す


「あ?千秋、今日休みなんじゃないのか?」


千秋さんを見ると、焦ったように携帯に何か打ち込んでいる


あぁ、外では筆談は紙に書くんじゃなくて携帯に打つんだ


そうして見せられたのは


『お休みです!』
「じゃあなんで編集者がこんなところに来たんだよ?」


敦史の問いには玄関に立っていた田中さんが答えた


「千秋さんが取材に出かけると伺ったので、ご一緒しようかと」
「は?お前ついてくんの?」


千秋さんは急いで田中さんにも携帯の画面を向ける


「ついてこないで、ですか。ですが千秋さんが仕事されているのに私が休むわけにはいかないので」


そういうことに鈍い敦史も千秋さんも気がついていないけれど


この人、千秋さんに好意を抱いてるでしょ
多分恋愛的な意味で

それで、男2人と出掛けるなんて不安だからついてきたんじゃないのかな?


「はぁ……」

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