言葉で聞かせて
第6章 休息?
「悠史?」
「……どうせ何て言っても着いてきますよ、その方」
「は?」
田中さんは僕の言葉にこくん、と頷いた
「当社の看板作家に何かあったら困りますので」
「俺たちがついてるんだから大丈夫だろうがよ」
「……」
「……なんだよ?」
「……いえ……」
敦史……田中さんは僕たちを信用してないんだよ……
僕はもう一度溜息をついて、田中さんに向き直った
「それでは、田中さん」
「はい」
「着いてくるのは構わないので、邪魔はしないでください。休暇を楽しんでいるだけなんですから、いいですよね?」
「……わかりました」
よし
まぁ、気持ちがわからなくもないからこれぐらいで妥協してあげよう
すると、敦史が僕の目をじ、と見た
ーーどういうつもりだよ?
ーー仕方ないでしょう?こんなことに時間使うわけにはいかないんだから
ーーそれはそうだけどよ
僕は千秋さんに微笑みかける
「さぁ、行きましょうか」
千秋さんは不安げに僕を見上げてきた
可愛いな
僕達が機嫌を損ねないか心配してる
「大丈夫ですよ。ようやく時間が取れたんですから、楽しみましょう?」
「!」