言葉で聞かせて
第6章 休息?
「それで?何か用事でもあるんですか?無いようならこの後予定があるので失礼させて頂きますが」
僕が苛ついているのが唯一わかったであろう敦史が目の奥で笑っている
それを無視して菜摘の答えを待つと
「ちょっと……いいかな……」
菜摘は僕の腕を掴んで千秋さんと敦史から引き離した
「あのさ、アドレスと番号……変わった、よね?新しいの教えてくれない?」
そういうことか
変えたって連絡がないってことがどういうことなのか考えて欲しいよね
でも、断る理由を上手く作れないな
「……また、お店に来てくださるならお教えします」
僕の言葉に菜摘は傷ついたような顔をした
「悠史……っ……そういうんじゃなくてっ」
「すみませんが、プライベートでの関係は終わってるので悠史ではなく流星と呼んでください」
「そんな……」
菜摘の目が少しだけ潤む
でも、何もしてあげられない
元彼女だからこそ無駄に期待を持たせるようなこと出来ない
僕の気持ちが伝わっているのかいないのか
「それでもいいから……教えて……」
菜摘は食い下がってきて、結局僕の連絡先を携帯に登録して去っていった