テキストサイズ

言葉で聞かせて

第6章 休息?

お前だって面倒くさがってんじゃねぇかよ、悠史


「女性」といつもなら言うところを「お客様」なんてワザとらしい言い方して


今度は笑いを噛み殺した


「失礼。お客様?何か飲むか?」
「ふふ。聖夜の言いなりなのね」


言ってろ


「それじゃあ、とりあえずワインをボトルでお願い」
「はい。ーーーワインお願いします」


悠史が黒服に飲み物を頼んでいる間に、何故か菜摘は俺の腕に絡んできた


「あ?」
「……いいでしょ?」
「あぁ」


いいけど
何だ?


「最近は何をしていらしたんですか?」
「うーん?普通に会社行って帰っての繰り返しで特に何も」
「仕事忙しいのか?」


菜摘は俺の肩に頭を寄りかけた


「そうなの。もうすぐ締めだからね」
「こんな時期にやんのか?」
「そう。だから疲れちゃって……」


これは客だ
これは客だ


「ふ、お疲れさん」


ぽん、と頭の上に手を乗せて頭が崩れない程度に撫でてやると菜摘は「はぁぁあ〜〜癒される…………」と目を細めている

チラ、と悠史の方を見ると顔は穏やかに微笑んでいた

が、俺にはわかる
目が怖い


心の底から湧き上がっている「面倒くさい」というオーラが俺には見える

ストーリーメニュー

TOPTOPへ