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歌 DE 小説

第1章 秘蜜 ~黒の誓い~

教会の裏に着くと少女は裏口のとを叩いた。
「シスター。シスター、クラレンス」
すると戸が開き初老の女性が出てきた。
「アリス、どうしました?」
少女の名前はアリスと言うらしい。
シエルは少女の名前がわかって少し嬉しく思った。
「天使様が怪我を…」
アリスが囁くとシスターはシエルを指差し、アリスに首を傾げた。
アリスがゆっくり頷くとシスターは二人が中に入るように促した。
「天使様…羽織を…」
中に入り、シエルを椅子に座らせるとシスターはシエルに羽織を脱ぐように促す。
シエルが言われた通りにフード付きの羽織を脱ぐと所々、血で汚れてはいるが綺麗な白い羽根が現れた。
「おお…天使様…」
シスターはシエルの姿を見て、思わず胸の前で十字を切り、祈っていた。
「それで…あの、天使様…」
「私はシエル。シエル・フランシア」
"天使様"と呼ばれるのがむず痒くなったシエルは名乗った。
「あっ…申し遅れました、私はマリア・テレサ・クラレンスです」
「良い名前ですね」
「畏れ多いです…」
まさか天使に"マリアを名乗る"とは思ってなかったシスターは苦笑いをした。
「シエル様、私も申し遅れてすみません。私はアリス・レアナ・オーランドと申します」
「アリス、貴方のおかげで助かりました。改めて御礼を言います」
二人は頭を下げた。
「フランシア様、拝見してもよろしいですか?」
「はい。お願いします」
シエルは所々の傷を見せた。
「高い所から落ちたのですか?」
「ええ。空を飛んでて…でもこれ位で済んで良かったです」
「羽の方は?」
反対側になっている羽が一番心配だというように、シスターは聞いた。
「羽は日光を浴びながら寝れば治りますから安心して下さい」
シスターとアリスは胸を撫で下ろした。
「今、お薬を持ってきますね」
シスターは立ち上がると部屋を出て行った。

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