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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第14章 シュメッターリングの舞

饒舌な若い当主は話し続ける



「それに、アリッサきみのところの会社だって関与しているんだろう?

例の“エターナル”に……」




「エターナル?」



「またまた! いやまぁ、ボクのところにだってね世界中から情報がまわってくるからね

キミが知らない振りをしても気にはしないさ


逆にアリッサ、キミが会社に忠誠を誓っているのがよくわかったよ!」



実際のところアリッサはあまりピンと来ていなかった



でも、どこかで聞いたことがある


“エターナル”



どこで聞いたのだろう



大型モニターにはシュメッターリングたちと護衛艦のクラングたちが空を舞っている光景が映し出されている



若い金髪の当主は優雅にワイン片手に愉しんでいる

自分よりもひとまわりも上の女性をはべらかせて

まるで私室で映画でも見ているかのように笑みを浮かべていた



彼女の肩を、背中をなでる青年の手は熱かった



やがて画面には落ちていく護衛クラングの爆炎



シュメッターリングたちは1機も傷つけられることもなく作戦を終了させた


「さぁ、これで2つの経路を断ってやったぞ!

どうする? キュール・シュランク」



スエズ運河側の紅海、そしてペルシャ湾沖合い


どちらも石油運搬船と見せかけたアクセプト陣営の補給ラインだった


貴族が空賊のような真似事をして、

実は競合他社の経路を遮断させる妨害工作だ


しかもその妨害工作は未知の機体シュメッターリング

アモルフィス社の新型機を使って実戦したのだ



家の名前も出さず、
偽装していたアクセプト陣営からは訴追されず

仮に身元が割れても表に出るのはアモルフィス社になるだろう


グリメットの若い当主は巧みに家を守ったのだった


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