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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第14章 シュメッターリングの舞

アリッサはスティーブの言葉を聞きながら自分の過去を思い返していた



学生時代を経て、母が病死

父は仕事に没頭しており、ふたりの弟はアリッサが面倒を見ることになる


当時、航空機部門の企業で働きながら、母の居ない家庭生活


楽しい思い出はあまり無かった


その数年後


出張で数日間家を明け、


帰宅したときには自分の街が無くなっていた



天涯孤独



寂しくはあったが、



どこか



責務から開放されたような安堵も感じていた



でも、その安堵を感じてしまう自分に

嫌悪感も抱いてしまう



アイデンティティが崩れそうになる


何とか自意識を保てれたのは、仕事だった


地球の人口が一気に減少し、何でもこなさなければならなくなった



以前の自分では出来なかったことが、せざるを得なくなってから、出来てしまうようになっていく


出来るようになれば


さらなる任務がやってくる


あっという間に地位が上がっていく


恋人もいたし、結婚を考えたときもあった


そんな時間を過ごしてきて、今の自分があった


戦争は自分の人生を変えてしまい、


戦争は自分の人生の一部となった


今の担当の相手は大きな組織の当主、


自分とは立場も身分も違う


仕事上の相手に過ぎない


それでも


なぜか今の関係はアリッサには居心地が良かった


家庭が欲しいわけではない


自分の居場所が欲しかったのかもしれない


それはきっと、いま画面の中に映っている少女たちもおなじなのだろう


ここに居ていいんだ……



スティーブ・グリメット



この若き青年にはそれらを包み込む何かがあるのかもしれない…



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