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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第16章 ニューフェイス

突然、耳元で女の声がささやいた


「勉強熱心だね」


ナオトはビクッと身体を震わせた


ヘッドフォン越しだったので、余計に声がハッキリせず大袈裟に驚いてしまった


ビルマで合流したドイツのハノーバー研究員、ユッタだった


「ビックリしたぁッ!! なんだユッタさんか

幽霊かと思いましたよ、突然話しかけないで下さいよ」


「……幽霊って……、なんかキミ失礼だね……」


研究員の中では20代の若さが売りのユッタは、幽霊扱いされて一瞬で不機嫌になった


「だって……、今でも心臓がバクバクいってますよ」



「そんな覇気の無い声かな……、なんか人を落ち込ませるのが得意だね、キミ」


ユッタはナオトの心臓めがけてペシッとぶった


「な…!、なんなんですか!」


「実家のドイツに個人的なメールをしておこうとここに来たら、キミが居たから声をかけただけじゃないか!」


エッタはナオトの隣の椅子に腰掛けようとしていたようだが、一瞬覗き込んだときに戦闘データを確認していたナオトを見て声をかけたそうだ


「なんだ、自分のデータじゃなくシンシアのデータじゃない? キミ、もしかしてシンシアのファンなの?」



ユッタはナオトの肩から身を乗り出して画面に注視する


女性の甘い香りがする



シンシアの清楚なさわやかな香りとまた違って、フルグレンスな意図的な香り


それに肩にあたる女性のやわらかな質感……


エッタは画面を見ながら話しかけていたが、ナオトにはエッタに女性を意識してしまい、

あまり話を聞いていなかった…


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