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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第17章 プライベート・ルーム

シンシアがデータ閲覧に集中しているとき、風呂上がりのナオトが入室してきた


ロッカールームに常設されている軍の肌着姿が見るからに寒そうで、肩からバスタオルを羽織っていてもたかがしれてそうだ


無言で近づいてくる少年の姿を見てシンシアはやれやれと気だるそうに立ち上がった


ふたりは特に会話もせずエレベーターで居住区フロアを進む


廊下の角を曲がるとそこからは女性陣の区画だ


明確に区画整理されているわけではないがこちらのエリアに固まっているのであまり男性陣は訪れないが、ナオトは以前からシンシアの看護補助や業務報告などで何度も来ている


別に男性侵入禁止エリアというわけではないが、あらぬ盲言を広められても厄介だ


シンシアは足早に自室に入るとナオトに合図して入室を促した


時間が時間なので少し遠慮がちだ


扉がしまりようやくシンシアの緊張が解ける


まぁ、誰かに見られたところで上官のシンシアが部下のナオトを引き連れて歩く姿は皆にも見慣れた光景なのだろうが……


シンシアはふぅっ、とひと息ついた


少し前まで部屋で寝ていたので空調も入りっぱなしで暖かい


ここなら多少の薄着でも体調が悪くなることもないだろう


“こんな時間に男を連れ込んで、私も墜ちたものだな”とシンシアは自虐した


「スイマセン隊長……、かくまってもらわなくてもボクはどこででも……」


よくよく考えれば別にナオトの自室以外にでも部屋は空いているだろう


しかしソニアが探し回ってきたらすぐに見つかるので結果は同じだったかもしれない


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