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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第18章 フリーゲン・ユニット

その日の訓練は午後も新型機シュタームのシミレーション訓練が中心だったが、そろそろナオトのケガも回復してきたので実機訓練の許可がおりた


といってもシュタームではなく量産機のフリーゲンでの話しだ


どうやらナオトに与えられるのはフリーゲンのようだ


さすがに“潰し屋”の異名を持つナオトに新型機シュタームは回ってこなかった


コードネームは“フリーゲン9”


欧米ではあまり意識されないが日本人のナオトは“よりによって9番か、不吉だよなぁ”とあまり乗り気ではなかった


業務終了後のシャワーのあと、ラルフたちと夕飯を摂ってダラダラと居住区の通路を戻っていく



「お前はアッチ!」


ヴァイカートに背中を小突かれ、ナオトは女性陣が集中するエリアへ押し出された



「俺の部屋でポーカーやろうぜ」と男たちはぞろぞろと去っていってしまった


“なんだよ!別に一緒に部屋に行ってもいいじゃないか!”ナオトは憤慨していた



ナオトがシンシアの部屋の前に立ち止まる


一応、軽くノックしてから入室した


シンシアはベッドに寝そべりながら何かの書類に目を通していた



「……別にノックは強要しないぞ」


「……着替えてる事もあるじゃないですか」


「そうか、それはご丁寧に…」



ナオトは自分のベッドの上に腰掛けた


部屋の対面の壁に備え付けられたベッドは以前の二段ベッドより広かった


やはり隊長室ともなれば設備も違うのだろう


特に何もすることもないナオトはヘッドレストに常設されたタブレット端末に手を伸ばす


パイロットたちの勤務表を確認したり、日報を確認したりして時間が過ぎるのを待っていた


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