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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第18章 フリーゲン・ユニット

「ナオトめ!ちょこまかと…!」


若いパイロット、トビアスは“フリーゲンF2”と強力な推進力をもてあましていた



「トビアス!突っ込み過ぎだ、狙われるぞ
せっかくの推進力があるならまわりこめ」


ベテランパイロットのピーヴィーはあたりを見回しながら弧を描くようにターンしていく



とにかく直進していくトビアスに対し、ピーヴィーは常にトビアスの動きを見ながら対極になるよう距離をとっている



標的のナオト機は雲を利用しながらふたりを翻弄していた


細やかな噴射と繊細な操作でなかなかロックオンされないよう動き回っている



「……ただのネズミじゃ無さそうだ」


ピーヴィーはナオトの動きが先日まで候補生扱いだったようには思えなかった


それに……


雲の隙間から出てきた時には、すでにナオト機はこちらに正面の位置に対峙している

模擬戦で無かったら、狙い撃ちされているのはこっちだった



若いトビアスが焦るのも無理はない



せっかく改良型のための模擬戦だったが、これでは改良型の問題点を露呈させられただけだ



いや、マシンの性能ではない



これはパイロットの技術だ



ピーヴィーは認めざるを得なかった







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