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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第18章 フリーゲン・ユニット

トビアス機はグルリと雲の裏手にまわりこめた


上空からチラリと見えた目標の機体


そこからの位置予測をして背後から追いかける



次の雲の切れ間を抜けたら見えるはずだ



抜けた瞬間



トビアスの前には広い青空のみだ

目標が見つからない



突如、警告音が響き自機がロックオンされたことに気づく



「どこだ!」



ロックオン表示されるが、画面に目標が出ない



その瞬間、自機が撃墜された表示に切り替わる



下から急上昇してきたナオト機と交錯する


「……もっと下にッ! いつの間に」



そのナオト機が抜けた直後、ナオト機はふいに現れたピーヴィー機に捕捉され、撃墜された…



「残念だったな少年……、

しかし……

仲間を犠牲にしなければ落とせなかった

本来ならば撃墜されていたのは我々だ…」



ピーヴィーはチャンスをモノにしただけで、決してマシンの性能でも、自分の技術でも無かった事が苦々しく思えるのだった



キュール・シュランクに帰還した3機



先に戻ったピーヴィーは後から戻ったナオト機が正面の格納庫に移動しているのが見えた


丁度コクピットハッチが開き、メカニックマンが近寄るところだ


ピーヴィーはハッチをズームしてみる



中から出てきたナオトはヘルメットを取り、パイロットスーツに繋がったコードを外しながら立ち上がる様子だ


画面には疲労困憊で汗だくのナオトの姿が見て取れた


パイロットスーツのファスナーを下ろすと、中からムッとした熱気が見える


「手を抜いていたようでも無いか、彼は彼なりに必死だったことなのか……?」



タラップを歩くことも出来ず腰を抜かしたように床に座り込むナオトを見ながらピーヴィーはどう判断すればいいのかわからなかった……


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