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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第18章 フリーゲン・ユニット

シンシアはこれまで人と馴れ合う事を敬遠してきた


だが少年を身近に感じる安心感、

添い寝だけとはいえ、この妙な感覚が意外と心地よい



これまで独りの時間が多かった反動なのか



“触れ合いってのはこんなに良いものだったんだな”



シンシアは今さらながらに“気心許す存続価値”を再認識していた


アンジェラが部屋を出たときは“あぁ、そうなんだ”程度にしか思わなかった


アンジェラが異性との共存を強く求める傾向にあったのは昔からなので、特に驚きもしなかった


アンジェラもこういうのを欲していたんだな、と今なら理解できるような気がする



当然、誰でもいいわけでもないだろう


この寄り添う少年は決して男のプライドからマウントをとってきたりはしないし、男の本能をぶつけてくることもしない


それが助かっている



しかし…、

いつかはこの少年から求めてこられたら



自分は受け入れられるだろうか



いや今も欲求を自制してくれているだろう



こちらのわがままに付き合わせているだけなのかもしれない



それともアンジェラの求めていた、さらに強い安心感がこの先にあるのかもしれない



シンシアは自身の呪われた幼い身体は嫌ってはいない


だが

その幼い身体を求めてくるような下品な相手には嫌悪してしまう


人と接することのジレンマ



そのジレンマがこの少年と居れば、ゆっくり溶けていくのかもしれない



それまで彼は傍に居てくれているだろうか?



女の武器を使えないシンシアは、また孤独の部屋に戻ってしまうことを恐れ


強く抱きしめてしまった



「……どうしたんです?」


「…」


「言ってみて下さい」



「……一瞬、キミがどこかへ行ってしまうことを考えてしまったんだ」



「大丈夫、ちゃんとここに居てますよ」


「……歳下のくせに生意気な奴だ」


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