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明け方、ナオトは廊下の慌ただしい音で目が覚めた

時計を見ると早朝４時

「なんだ？…出撃か？」

警報は鳴っていないので敵軍の襲来では無さそうだ

おそらくこちらからの作戦行動に入ったのだろう

浮遊空母の機動力がどこまであるのかナオトも知らないが、

当然目標地点まで接近してフリューゲル部隊が出撃、

作戦行動終了後は空母に帰投し戦線離脱だろう

海の空母と変わらない

地上のガード部隊であったナオトには防衛任務が主だっており、先制攻撃とはやはり大きく違うだろう

気持ちは焦るが今は治療とリハビリに集中するしかない

ハンズィ隊長が出撃したのだろうか…

マリコも飛んでいるのだろうか…


数時間後、再び周りが騒がしくなった

警報は相変わらず無い

まるで状況がつかめない

この浮遊空母はかなり巨大らしく出撃や帰投の轟音が感じられない

もしくは生活ブロックと格納庫は意図的に離してあるのか…

周りが忙しい状況ではあるがナオトの居る部屋は以前から使われていなかったらしく誰もやってこない

廊下を注視していたナオトだが、どうにも出来ないのがわかると深いため息を吐きながら再び簡易ベッドに横たわった


それから30分後、突然入ってきた入室者にナオトは気づくことなく寝入ってしまっていた

(誰かの話し声が聞こえる…)

「チキショウ…！」

「…自分を責めないほうがいい軍曹」

「オレのせいで…！」

ナオトは少しずつ深い睡眠から覚めてきていた

(なんだ…？あの軍曹…作戦ミスをしたのか？…もうひとりは…女性…？救護班かな…今は顔を覗かせないほうが良さそうだな…)

ナオトは薄い毛布を引き上げ身を隠した


「落ち着いたほうがいい、ピート軍曹…トーマス軍曹は確かに残念だった…だが今はまだ作戦行動中だ…悲しんでいては次に命を落とすのはキミかもしれない…休みなさい」

「トーマスは訓練校の頃からのダチなんだ…！アンタに何がわかるッ！もうオレは耐えられねぇッ！次はきっとオレなんだ！クソっクソ！」

「や、やめろ…離せ、軍曹…ッ！」

どうやらピート軍曹は自暴自棄に走っているようだ

ナオトも知っているが緊張状態が長く続くと精神的に追い詰められる

(あの女性兵…大丈夫かな？)