テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第4章 ~シンシア~

緊張状態の男たちに安らぎを与えてくれるのはウェーブ(女性兵)だったりもする

地上基地でもよくあった

もちろん彼女たちもそんなコトをスる為に配属されているわけではない

ただ…自分に何か出来る…手助けしてあげたいと思う女性も居なくはない

ここが日常とは離れた作戦行動中の戦闘空域ならなおさらだ


(参ったな…これじゃボクが覗き見しているみたいじゃないかッ!…違うとこでやってくれよッ…て、そうか…ここは空き部屋だったんだよな…)

ナオトが一層毛布の中で身を小さくさせていた


「チクショウ!チクショウ!」

「やめろ…軍曹!」

「うるせぇッ…上官ぶりやがってッ…上官なら上官らしく部下のケアをしてくれよッ…!」

「私は貴様の処理の面倒まではみないッ」


(え?上官?あの女性兵は救護班じゃないのか?パイロット?)
ナオトは聞きたくない会話だが、どうしても耳に入ってくる
パイロットにも女性兵は居てるし、少ないが士官もいる

ただ地上基地には女性士官は居なかったのでナオトには想定外だった


「ど、どうせ次の出撃でオレもダメかもしれねぇンだッ!どうなってもいいさ…、軍法会議にかけるならそれでいい…!こんなとことはオサラバだッ!アンタはいい上官だったけど相手してもらうぜ」

「正気…?」


(あの軍曹…イッちゃってんな…止めたほうがいいか…)


ナオトが身構えた瞬間…!


ターーン!


乾いた衝撃音


発砲!


(撃った…!どっちが?)

「何やってんだ?お前ら」

声の主はナオトにも聞き覚えがある

ハンズィ隊長だ


「騒がしいと思ったらシンシアちゃんか…部下と作戦後のミーティングか?」

イヤミったらしくハンズィが近づいてくる

「そうです…!軍曹と細かい調整をしておりました…が、もう終了いたしました」

シンシアと呼ばれた女性士官は何事も無かったように報告していた

「そーかそーか、じゃあちょっと軍曹借りてもいいかな?オレとも組み手の練習をする予約をしてあってな、なんせこのデッカい“冷蔵庫”の中じゃあ身体がナマっちまう!行くぞ、ピート軍曹!」

「いや…オレは…」

慌てふためく軍曹はハンズィ隊長に引きづられて部屋を出た


静かになった部屋でふぅーとため息をつく女性士官の音が響く


ナオトはいよいよ出づらくなった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ