テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第19章 シンガポール戦線

(3)

「逃がすかよ、新型ッッ!!」


高速電磁砲〈ピアン〉を再度放つため急接近するヤンネの“クラング・ハイノート”


追い詰められたハンズィ機


対峙したヤンネが高速電磁砲を放つ瞬間、



下から急上昇してきた赤い“シュターム”が特攻するかのようにヤンネ機に斬りかかる!



“下がガラ空きだ!”



今度はハンズィ機が目立つ囮となり、下からシンシア機が特攻する


「がッッ!? しまった!赤い奴か」


シンシアのビームサーベルが高速電磁砲の砲塔を切り落とす!



充填されていたエネルギーが暴発


高速電磁砲は射出されずに機体を誘爆させる



ヤンネの機体は凄まじい爆音とともに巨大な光球に包まれる


「ヤンネ!?」


狙撃していたローペが叫ぶ


「バカ野郎!突っ込み過ぎだ」


ベテランパイロットのローペはヤンネの若さを嘆いた


ヤンネ機を撃退させたシンシアに第3の敵機が迫る!


一瞬の隙をつかれたシンシアが捕捉されてしまった



長いムチ状の近接兵器がシンシア機に絡みつく


「で、電磁ロープ…!」



シンシアが反転離脱するも容赦無く高圧電流が放たれた


「ぎゃぁぁッッ!」



シンシアの絶叫!



コクピットのモニターが次々と黒くなる


敵機はハンズィに狙われないように早々と電磁ロープを回収し、後退した



電磁ロープの使い手、ザンダー機の後退を助けるように後方からローペが弾幕を張る


攻撃、後退を巧みに入れ換える


「ザンダー、やったか!?」



「いや、青い奴が近すぎる、ヤンネの二の舞いだ…」


「赤い奴が動けないなら追撃する、動いたら引く」


ザンダーが弾幕に守られながら弧を描くように滑空して揺動する



すると赤いシュタームのシンシア機はクルクルと機体を回転させながら上昇し、弾幕の回避を行いながら上空からの迎撃態勢を取り始めた



「駄目だ、効いてねぇ!後退する」


「了解」


二機のクラング・ハイノートは早い判断で離脱した



シンシアは回転を止め、念の為の弾幕を張りつつ、姿勢を立て直した



ストーリーメニュー

TOPTOPへ