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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第4章 ~シンシア~

(早く士官も出て行ってくれたら良いのに…!)

静寂を打ち破ったのは女性士官シンシアだった


「そろそろ出て来い、ネズミ!」

ナオトはギョッとした

「…」

ナオトはゆっくり毛布から顔を出して上体を起こした

ゆっくり女性士官に向きを変えると、少し拍子抜けした

「え…?」

ナオトの前に立っているパイロットスーツの女性は士官と言うにはまだ幼い少女だった

「ん…?見ない顔だな?誰だ」

「が、ガード部隊…南太平洋ガード部隊のナオト・サカモト訓練生であります!」

「訓練生…?地上兵か…あぁ…あのときの…」

ナオトも思い出した!

漂流した自分を見つけてくれた友軍機

あの赤い隊長機のキャノピーから出てきた女性パイロット

そして同時に思い出した!ハンズィ隊長が言っていた“戦いの女神”…!

マシーンと呼ばれたシンシア!


(もっと武骨なベテラン女性兵士と思いこんでいたが…こんなに若くて…士官?
訓練生のボクとあまり変わらない年齢じゃないのか?)

「し、シンシア隊長…!その節は自分を救助していただき…ありがとうございましたッ!」

「そうか…キミがあの“クラング”のパイロットか…」

ナオトは自身の半壊した機体を指摘され、申し訳なく思った

「は、はい!申し訳ありません!軍から与えられた機体を…」

「いや…よく生きてたどり着いた…機体の記録は私も確認しました」

フリューゲル機には航空機でいうブラックボックスが標準装備されている
またコクピットのモニターの記録もある

「しかし…つまらん所を見せたな、部下の取り乱しは忘れてください」

シンシアは自分に降りかかった被害に慣れているかのようだった

「こちらこそスイマセン…熟睡していた直後だったので…声を出せませんでした」

「いや…空き部屋だったので…取り乱した軍曹を落ち着かせようと思ったんだが…うまくいかなかったな…」

「軍曹…どうするのですか…?」

「どうもしない、別に何かがあったわけではない、それに今頃ハンズィ隊長がフォローしてくれている」

落ち着いた雰囲気の人だなとナオトは思った

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