テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第20章 重鋼クラング・グロウル

(7)

最後の1機が剥がれたナオト機を掴んだのは青いラインが目立つソニアのフリーゲンF2だった…


「大丈夫かいッ!?…ナオト?」


すでにナオトの心臓は数回の電気ショックに耐えられなかった…



ソニアのコクピットのモニターには掴んでいる友軍機のパイロットのバロメーターが警告音とグラフが表示されている



ピーーーー!



ナオトの心拍数は一直線の状態になり律動していなかった…



「う、嘘…!?」



ソニア側からも接触回線でナオト機のコクピット内の様子が見れるのだが


ナオトの首はガクンとさせ、

肩から背中のほうへ頭を垂れていた…



そしてそのソニアの情報は


もちろんキュールシュランクの管制塔にもモニタリングされていた



管制塔でフリューゲル全体の指揮をとっていたシンシアの目も見開いて大型ディスプレイの1点を凝視していた


無表情で何も言葉を発していないシンシア


ブリッジクルーはこんなにもシンシアが眼を見開いて固まっている光景を見ていられなかった…


守りきれなかったハンズィ、ラルフ、ヴァイカートの機体にもナオト機のコクピット内の状況は表示されており、


誰も声が出せなかった…



格納庫の廊下の天井からぶら下がっているテレビ画面を見上げていたメカニックのマーカスも


何も言えず、上を向いたまま動けなくなってしまっていた…


データ解析をリアルタイムで作業していたオペレーターのリトケのキーボードを叩く指が止まったまま、動かなくなった…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ